世界でもっとも有名なうさぎ、ミッフィー。
その作者である絵本作家のディック・ブルーナさんは、実は優れたグラフィックデザイナーでもありました。
究極のシンプルを追求したディック・ブルーナさんとはどのような人物だったのでしょうか。
ディック・ブルーナのプロフィール
ディック・ブルーナさんは1927年にオランダはユトレヒトに生まれました。
幼い頃から絵を描くことが大好きで、大人になってからもフランスの画家であるマティスなどの影響を受けながら、試行錯誤し独自のスタイルを確立していきます。
そして20代半ばになると、父親が経営する出版社にデザイナーとして勤めるようになります。
書籍の装丁では得意のイラストを活かし、シンプルで力強く、目を引くデザインで年間で100冊以上を世の中に送り出していました。ブラックベアシリーズの累計は2000冊を超えるとされています。
また、キャリアを重なると同時に絵本作家としての創作も行うようになり、ここからミッフィーが誕生することになります。
ミッフィーも当初は今のようなデザインではなく耳の形も異なっていました。
絵本の形も元々は縦長でしたが、シンプルを追求した結果、現在の15.5cm×15.5cmの正方形になりました。
1975年に独立し、より創作活動の専念するようになります。
社会福祉関係のデザインを多く手がけて、ミッフィーも地元のオランダだけに留まらず、世界的に人気のキャラクターへと成長していきました。
ご自宅とアトリエを愛用の自転車で日に3往復するなど、晩年も元気に子供達に向けた活動を行っておられましたが、89歳で故人となりました。
シンプルを追求したデザインの特徴
対象から象徴となる部分を抽出し余計な部分は排除する。非常にシンプルな表現方法がディック・ブルーナさんのデザインにおける最大の特徴です。
絵本作家としてはブルーナカラーと呼ばれる赤・黄・青・緑・茶・グレーの6色しか使わないことで有名ですが、グラフィックデザイナー時代はもっとたくさんの色を使っていました。
本の装丁ではマティスの切り絵風だったり、大胆にリピートを取り入れていたり、遊び心がありながらもシンプルであることが徹底されています。
例えばメグレ警部シリーズは毎回パイプが採用されていて、それを見るだけで「あ、メグレ警部だっ」と判断することができるアイコンとなっています。
彼曰く、究極のポスターとは一切文字がないもの、とのことでそれを初めて聞いたときはびっくりしてしまいました。
ちなみにぼくが一番好きなディック・ブルーナさんのデザインはブラックベアです。
本を読むかわいらしいクマさんの目が赤いのは、ずっと本を読んでいるから、というのが理由なんです。とてもかわいくてTシャツまで買ってしまいました。
シンプルデザインの参考になるおすすめの本
著作権があるので中身の画像を載せられないのが残念なのですが、装丁やポスター、ブラックベアのデザインやディック・ブルーナのデザイン哲学が掲載されている本があり、デザインの参考にするにはめちゃくちゃおすすめなので、ぜひ読んでみてください。
ディック・ブルーナのデザイン
シンプルの正体
影響を受けた著名人
デザイナーでは佐藤可士和さんが影響を受けたことを公言されていますね。
ホンダステップワゴンの広告や手書きの色使いにその影響が感じられるかなと思います。
最後に
シンプルなデザインって現代でもたくさんあります。
一見簡単そうに見えるシンプルという概念だけど、実際はとても難しくしっかり計算されています。
その中でもディック・ブルーナさんのデザインの魅力はシンプルなのに温かみが感じられるところです。
ミッフィーだけしか知らなかったという人は、ディック・ブルーナさんが愛したシンプルなグラフィックデザインの世界にもぜひ触れてみてください。